秩父地方の地質(ワイナリーの基盤表層地質の考察)
1.中央構造線(三波川帯)と秩父地方
日本には大規模な構造線があります。
静岡・糸魚川構造線(フォッサマグナ)、中央構造線(三波川帯)の二つです。
中央構造線は、九州、四国、紀伊半島、諏訪、から関東に南下し、秩父を通り千葉北部に延びています。
この中央構造線沿いは造園的には青石の産地としてよく知られています。
この青石は「結晶片岩」と呼ばれています(緑泥片岩、緑色片岩など)多くの呼び名があります。
秩父地方の名所「長瀞」の両岸は結晶片岩が連なり美しい景色を呈しています。
秩父の北側、群馬県境に「三波川峡」があります。
中央構造線の別名「三波川帯」はこの地の名称が由来となっています。
2. 石灰岩の産地(武甲山等)、西武鉄道秩父線の発展の原点
西武鉄道は1989(高度経済成長期)より石灰岩の輸送が重要な収益源となっていました。東横瀬駅(貨物駅)がセメントの輸送拠点。
石灰岩は約2.3億年前、秩父地方が熱帯地域にあり、当時の珊瑚、有孔虫など海洋生物の外殻の蓄積層が大陸移動により現在の位置に、そこに大陸プレートの沈み込みによる圧縮力により褶曲が起き、「石灰岩」の露頭が表出しているのが武甲山です。
埼玉県には6カ所の石灰岩の鉱山があり、そのうち5カ所が秩父地方にあります。
日本には石灰鉱山が250稼働しており、生産量の多い県の順位は、大分県、山口県、高知県が上位3県です。
石灰岩はワインの生産と重要な関係(ミネラル)あり、フランスなどの有名産地は必ずといって良いほど石灰岩層、石灰岩礫と関係があります。
3.「秩父ワイナリー」、「兎田ワイナリー」周辺の表層地層
秩父ワイナリー、兎田ワイナリーの表層地質は、新生代、第三世紀、小鹿野町層群(桜井層)です。
兎田ワイナリー自社畑
秩父ワイン自社畑
・砂礫・泥堆積物
荒川、長留川、横瀬川などの現河川、及び、旧流路跡の河道ないし氾濫原といった低位段丘面扇状地の河床堆積物で構成されている。
秩父市街地より60m程高く関東ローム層は被っていない。
一般的に泥質混じり砂礫から構成、礫径は5-10cmが多く60-70cm大も存在する。
・砕屑物
地形の緩い山麓面に分布、崩れやすい「結晶片岩」が多い、変成岩地帯にあって結晶片岩、古成地帯にあっては、チャート、砂岸、粘板岩、充填物は二次的ローム及び
岩石の風化物で構成されている。
・土壌
チャート、礫岩、粘板岩、輝緑凝灰岩等
白石和光
葡萄の騎士の会 幹事
造園家
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